diary

豆苗の水を変える

一緒に暮らしている池内くんが大切に育んでいる豆苗の水が、いつも腐っていてとても気になる。気になるたびにその腐った水を変えている。だけれど、水を変えただけでは根本的な改善にはつながっておらず、水を腐らす要因となっているダメになってしまっている豆苗を、毛繕いする猿が如く、丁寧に取り除き、そこまでしてようやく豆苗にとって良い環境を取り戻したと言える。池内くんが知らないところで実は、豆苗を大切に育んでいる僕がいる。

管理ができないのなら捨ててしまえばいいのに、と内心思いつつ、水を変える行為を通して自身の心までもが浄化されている。なんなら豆苗が元気を取り戻すと嬉しい気持ちになっている。もう、台所に立つたびに豆苗を確認している。なんだろう。悔しいけれど、愛情を注いでしまっている。でも、豆苗が伸び伸びと育つと池内くんは、食べる。悔しいけれど、僕はまだこの豆苗を食べたことがない。

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