stranger of island(2015)

日本海の島根半島沖合約60キロに浮かぶ隠岐諸島の島のひとつ海士町は「地方創生」のための、行財政改革、特産品開発、高校の魅力化プロジェクトなど、独自の取り組みにより注目を集める町である。僕は2013年の春に、この小さな島に移住した。この島を訪れる前は、母方の祖父母が暮らす島根県西部の山あいの村で暮らし「限界集落とは何か」を視覚化するために撮影をしていた。そして「限界集落」で暮らしている人々の姿を見ているうちに「豊さとは何か」という問いにたどり着いた。その途端、集落での暮らし方がわからなくなってしまった。

本土から船で2、3時間かかる海士町の暮らしは都市に比べ、確かに便利ではない。それにも関わらず多くの人を魅きつけ、人口約2400人のうち、島外から移住してきた人は1割にも及ぶ。海士町を、暮らしの目線から見てみたいという理由から移住を決めた。

僕は今、海士町観光協会に在籍し、岩牡蠣が旬を迎える春から初夏は工場での出荷作業、観光シーズンのピークを迎える夏には宿泊業といったように、季節に応じて様々な仕事に携わる「マルチワーカー」として働きながら写真を撮っている。それぞれの職場に入り込むことで、僕が感じた疑問に近づくことができるかもしれないと思ったからだ。

この春で島の暮らしは2年が経った。「豊かさとは何か」という問いは未だに消えることはない。しかし、この問いに対して無数にあるであろう答えの中から、ひとつ思うことがある。それは、この島ではなくても、それこそどこの地域にもある「人と土地の繋がり」を感じることができれば、そこに「豊かさ」を見出すことができるのではないか、ということだ。