diary

「鳥はみずからの力だけでは飛べない」

田口ランディの「鳥はみずからの力だけでは飛べない」という本が好きで、何度も読み直している。誰かに貸しては、返ってきたらまた読んで、というのを繰り返して、今までに何度読んだのだろう。それくらいに思い出したくなる感覚が詰まっている本で、読み返したくなる。

この本を読むと「今」を大事にしたくなるし、「自分」を大事にしたくなるし、優しい強さを持った人になれたらと思うし、家族に連絡したくなる。普段、逆のことをしているかといえばそうではないけれど、忘れてしまう。


今日は、読み返したわけではないけれどこの本のことを思い出したから、家族に電話がしたくなり、電話をした。父に電話をした。

父はおそらくこのブログを読んでいて、僕がどこで生きているかは知っているので、近況を話すようなこともなく、僕の話よりも最近そっちはどう?みたいな話をするつもりが、気づけば僕がずっと喋っていた。伝えたいことや言いたいことは自分では気づけなかっただけで、たくさんあった。なんでだろう、自分のことを話したくなる。

去年からのこと、最近のこと、これからのこと。その中で、ホテルの改修工事の話になった。

僕がこの撮影にやりがいを感じているし、すごく楽しんでいることを伝えたくて、海士町に引っ越す前の弥栄町でも、ヘルメットを被って工事現場に撮影に行ってた時の感覚を思い出したよって話をして、そしたら、思いがけないことを教えてくれた。それは、僕は小学校のころ、いままさに僕が撮影している改修工事中の、マリンポートホテル海士の旧館に泊まったことがある、ということだった。

もう20年も前になる。記憶は無かったけれど、言われると思い出したような気になる。そのころはあまんぼうが豊田の海で運航していて、それにも乗船したような。

思い出が少し、蘇った。


いまこうして、海士町の歴史を残すのは、世界中どこを探しても、僕以上に適した人はいない。そう思うくらいに、その思い出をルーツに感じた。撮る理由が、見えた。

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