diary

不毛なできごと

掃除機をかけていると、床に落ちている毛に目がいく。なにも、今日初めて気になったわけではないけれど、気になった。

落ちている毛は、髪の毛ではない。僕は3ミリの坊主だから、3ミリ以上の落ちている毛はすべてスネ毛や陰毛だったりするわけだ。

これ、なんとかなんないかなぁと思ったのが、すべての始まりだった。こまめに掃除機をかければすべてが解決する話なのに、今日はなぜか、そうはならなかった。風呂場にカミソリが置いてあったのことも、そうさせた一つの要因だったかもしれない。

僕は生まれて初めて、無駄毛の処理をした。


僕は「なぜここに生える、そしてなぜここに生えない問題」を抱えている。簡単に言うと、頭は薄いけれど体毛はやや濃いということで、その状況においてさらに体毛まで削いでしまったら、毛という毛がすべて無くなってしまうけれど、ええい、そんなことはもうどうでもいい。


とはいえ、左足だけ剃った。いきなり全部を剃るのは、なんだか度胸が必要だった。でも、毛を剃った左足、スネ毛がないスベスベな感じ、何十年ぶりだろうか。風呂から上がり、タオルで身体を拭くときのタオルが触れる感覚、そしてパンツを履き、ズボンを履く。服が肌に触れる感覚が新しい。

少し動き回る。やはり、服が肌と擦れる感覚が気持ちいい。いい!

やっぱり、両足とも毛を剃ることにした。


左足の毛を剃ったときに少し感じていたけれど、僕は体毛がやや濃く、そのために、すべてがゆるやかに繋がっていて、それは足の毛から胸毛まで大陸が続いているということで、左足の毛を剃る、といっても、どこまでが左足の毛か、見極めが難しい問題に直面していた。もし見極めを誤ると、温泉に入ったときに不自然に毛がないから、まわりの人たちから不思議な目で見られて恥ずかしいことになってしまう。それだけは避けたい。

左足の毛を剃るときにその壁にぶち当たっていたから、右足の毛も同様の壁にぶち当たった。結局、大切なところのギリギリまで剃ることにした。


しかし、新たな壁にぶち当たる。もともと全体的に体毛がやや濃かったけれど、両足だけ毛がない人になってしまっていて、温泉に入ったときにまわりの人たちから不思議な目で見られるに違いなかった。悩んだ末、ヘソ毛と胸毛も、剃ることにした。

しかし、すべてにおいて境目の見極めが難しく、ましてやヘソ毛と大切なところの周辺の境目の見極めなんて、宍道湖と中海の境目くらい見極めが難しかった。


太ももの裏の毛とか、どうやって剃るんじゃい!と、ツッコミを入れつつ変な体勢になりながら剃ったりしていたら、1時間近く時間が経っていた。

つまるところ、まさに不毛な戦いだった。


桜が咲いているのに雨だ。

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